こんなに長く住むことになるなんて思わなかった。
多くの日本人がパリが好きでやってくるのに、
私はむしろパリが嫌いでした。
パリはなんか可愛らしすぎて。
気取っていて。何かよそよそしくて。
かってに、天邪鬼に、一方的に嫌っていました。
でもフシギです。
四年が過ぎて、いつの間にか自然に家について「ただいま」といえるようになりました。
少しずつ、気づかぬうちに、
好きになってきたんですねえ、この町が。
よそよそしいと思ったのに、毛布みたいにふんわり暖かかったり、
かもめみたいに自由だったり。
匂いにつられて美味しいパンを食べたり、ギャラリー巡りで面白い絵を見たりするうちに、
素直に「ここは、なんかいいなあ!」と思えるようになりました。
私のアパートはサンジェルマンデプレというところにあります。
パリの中心に近い6区。セーヌ川まで歩いて3分。
ギャラリーが立ち並ぶ一角にたつ、小さくてふるーい建物が私の家です。
5階なのに螺旋階段しかないので、ふうふう息を切らせながら登る。
まいにち、まいにち。
ずっしり重い食料品なんか持っている日には、「このやろー!」という感じですが、
でも、それも実はなんだかそれも嫌いじゃない。
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