2008年12月21日日曜日

冬の午後の散歩道





今日は思いがけず暖かい日。でも相変わらず太陽は全然出てない。
私は暖かいことがただ嬉しくて、サンジェルマンからサンミッシェルに向かって、川沿いの道を一人で歩いてみた。
こんな風に散歩するのは久しぶり。
途中のパッサージュでは
昼間でもカンテラの電気がつけっぱなし。
柔らかくほっこり光っている。
セーヌ川沿いを歩けば、使い古しの楽譜が風に揺られていた。
やっぱり冬なんだなあ。
街ではクリスマスマーケット。
お菓子やら、帽子やらセーターやらが
雑然と売られている。
眺めている人は多いけど、買っている人はあんまりいない。
思わず、何か買いたくなって、
夫のためにスウェードの手袋を物色。
散々悩んで結局オーソドックスな濃い茶色を買った。
10ユーロなり。
安いなあ。


2008年12月12日金曜日

写真家とクスクス


今日は写真家のシュンさんと、今後の雑誌企画についての打ち合わせを兼ねてご飯を食べる。
オペラバスティーユの前で待ち合わせして、向かったのはケラー通りにある「スーク」という
クスクス料理屋。よろい戸のような大げさな扉をあけるとそこはかなりモロッコそのものの、なかなか雰囲気のあるお店です。



写真はタジーン。モロッコでとったもの。


まずは、前回企画の雑誌を前に乾杯!
そしてさっそく来年の東欧の企画に向けて、色々と話し合う。
シュンさんはいつもヨーロッパ中を飛びまわっている。
だから彼は東欧にめちゃくちゃ詳しい。
宗教から、人種から、歴史まで一通り解説してくれた。
唯一いったことがない国はアルバニアだそうだ。だよねー。

クスクスをつまみながら、他のフランスの雑誌企画についてもついでに相談。
私は「フランスの家族の肖像」という企画を考えていると伝えた。
フランスという国は、「家族」というものが日本とぜんぜん違い。
ゲイやレズの結婚カップルもいれば、子ども三人いても結婚してないカップルもいる。
養子縁組も多いし、お金持ちの夫婦が恵まれない子の援助をしていることもある。
そういう多種多様な家族を取材してみたいものだ。

さらに別の本の企画でぜひ写真をとってくださいー、と頼むと、
「いいですよ~。もうお金とかは二の次で、撮りますよー」と快諾してくれる。
はっきりいって一ヶ月くらいかかる大変な仕事なのに、瞬時に迷い泣く笑顔で答える彼はすごいなー。
ありがたいです。

なんて話している間に冬の夜は更けて。
来週からはなぜかスクワット巡りしましょう、という話でまとまりました。
それはまたそのうち。。。

2008年12月8日月曜日

Christmas is here

東京から戻ると、パリは真冬が到来していて、着いたとたんにいきなり風邪をひいてしまいました。
街に出ると、栗屋さんが栗を売ってたりして、寒いのにご苦労様です。




燦々と日が差して、紅葉が美しかった東京から来ると、冬のヨーロッパの厳しさをヒシヒシ感じます。
空は今にも泣き出しそうな曇り空に覆われて、太陽がどこにあるかさっぱりわかりません。

夕方四時半にはもう夕闇が迫り、夜がとても長い。

木々はすっかり裸になり、風の冷たさに耳が痛い。

この地で生まれたキリスト教がなぜ12月にクリスマスという一大イベントを作ったのは、わかります。

こんな暗くて冷たい色彩のない日々の中で、何かを楽しみにしなくてはやってられない。
クリスマスになれば、家族一緒にどーんとした丸焼きチキンも食べられるし、
ツリーには、キラキラの飾りもの。子どもたちはプレゼントまでもらえちゃう。
そんなワクワク、ドキドキがなけりゃ、やってられない、冬のヨーロッパです。







いつもビックリするのは、この寒風の中、外でコーヒーを飲んでいる人たち。
太陽を浴びられるわけでもないのに、なぜ外に?
頭にニット帽かぶって、マフラー巻きながらヒエヒエのビール飲んでいる人もいる。
わからん!
こんなとき、あー、私って日本人だなって、思います。
だって、家でこたつに入ってたほうがよっぽどいいもん。

2008年12月7日日曜日

パリ 20区で住みやすいのは?


パリ、というのは20区にわかれていて、それぞれの区がすごく個性的です。
住んでいる人が違うし、街の雰囲気も全然違う。
それぞれ違うよさがあるのがこの20区です。
シテ島があるパリの中心が一区で、そこからうずまき状にぐるぐる20。
数が増えるほど新しい区になるわけです。
ちなみに生活するときのお値段は、4、5、6、7区がダントツにお高く、後は1区、16区あたりが、まあまあ高い。15区や14区は治安が良いわりに、そんなに家賃は高くないかな。逆にけっこう安いのは11区や12区、そして13区。パリの中で一番安いのは18、19、20区だと思います。ちなみに家賃の高さと治安状況はそれなりに比例します。

実はいぜん一年ほど15区に住んでました。だから治安の良さに関してはお隅つき(?)です。まわりに住んでいる人もごく普通の勤め人といった感じ。私が住んでいたのは家具つきの50平米のアパートで家賃は1000ユーロ。セントラルヒーティングで、エレベーターつきの三階で日当たりも良かったです。駅もmonoprixも歩いて1分。住みやすさという点では、ほかに類を見ない良い区。でも、15区は住宅街なので、夜はすごく静かで、活気を求める人にはすごくつまらないですが。私は一年で飽きてしまいました。

私個人的なお勧めはモンマルトルのあたりやバスティーユがある11区。活気があって、治安も悪くなくて、住みやすいわりに、安いです。11区も4年前ですが3ヵ月だけ住んでいたことがあります。夜遅くまでバーに集まる若者がワイワイガヤガヤしているロケット通りの近くに住んでました。30平米ほどのスティディオで、家賃は800ユーロでした。電気代なども中に含まれていたので、まあお得だったかな?日曜日はマルシェもあるし、物価も安いし、気の利いたい心地の良いカフェにそこかしこにあるし、基本的には言うことなし。さらにマレ地区まで歩いていけるのが嬉しかった。マレは日曜日でもショッピングができるので便利便利。でも色々あって3ヵ月で引っ越しました。

さて11区、15区の後に今、私が住んでいるのは6区。
地図で分るとおり、とても小さい区なので、ハジからハジまで歩いて20分くらいです。
前にも書きましたが、パリでもっともシックだと、言われるところです。
実際住むとかなり生活感があるエリアで、住んでいる人もわりと多く小さな村みたいで面白い。
スーパーも一応歩いていける範囲に2件あるし。
日曜日にはちゃんとマルシェも立ちます。
あ、でもクリーニングはすごく高いけど。
リュクサンブルグ公園まで歩いていける、というのも大きな魅力です。

お隣の五区も好きです。6区ほど気取っていなくて、生活しやすそう。
カルチェラタンといわれるのがこの辺。街は古くて、とても美しいです。rue mongeというアタリが昔ながら商店街や市場になっていて、観光客と地元の人が交錯しているエリア。
ちなみに私が働くソルボンヌ大学本校があるのも、この辺です。
古い商店街、ダゲール通りなんかもあるので、住むのにも落ち着いた場所で人気が高いところ。
公園までも歩いていけます。
いつか住んでみたい憧れの区、それが5区かな。

反対側のお隣、7区は、なんだか好きになれない。エッフェル塔がある区がここ。
ここは官庁街で、大きな病院や役所なんかがたくさんあります。
後高級デパートボンマルシェもここらへん。
なんか無機質なんだなー。
この区で唯一生活しやすそうなのはクレール通りという商店街近辺。
ここは、車が通らない活気あふれるところです。ブラッセリーや美味しいパン屋さん、チョコレート屋さんなんかがひしめいてます。でも、物価は高い。。。

パリに長年すんでみて思うのは、全体的に言うと絶対的に治安が良い街です。
特にパリの西側は夜遅く一人で歩いていても、怖くもなんともないです。マレ地区も基本的にはぜんぜん怖くない。安全です。
逆にちょい怖いかな、と思うのは、ストラスブール・サンドニ~クリニャンクールのあたり、そしてベルビルのあたりかな。

my home in Paris 2

私が住むサンジェマンというエリア。

今でこそ高級ブティックやギャラリーが立ち並ぶシックな地区ですが、昔、昔は貧民の巣窟の恐るべきスラム街だったらしいです。

道には大道芸人やピンプや娼婦が溢れてて、貴族は絶対にちかづかないエリア。

しかし、ナポレオン3世の時代にとつぜん、「このままじゃいかん、開発しよう!」ということになり、人々を追い出し、家をバリバリと取り壊し、新しい道路を作り、建物を立て直おしたらしい。

目抜き通りのブルバードサンジェルマンもその頃できたとか。

たぶん、私が住んでいるアパートもその頃、たてられたんじゃないかなー?

たぶん築200年。古い!


スラム街はなくなっちゃったけど、今でも細くて古そうな路地は結構あります。

散策してるとやっぱりそういう怪しげな路地にひかれてしまいます。


人気がなくて、自分の足跡がこつーん、こつーんと響いたりして。





さて、昨日から書いている我が家なのですが、すごく気にいっていることがひとつあります。


それは、教会から聞こえてくる鐘の音!


サンジェルマン教会は、パリ最古のロマネスク教会だそうで、(その意味のほどはわからないけど)、


石造りの古い建物です。友人が来た時、「わ、ホーンテッドマンション」とかいってましたが。
確かに夜は、うっそうとした木々に囲まれて、裏寂しい雰囲気です。

そこから週末の朝9時半くらいに、ゴーン、ゴーンとくぐもっているような透明なような、

なんともいえない音が響いてくる。諸行無常の響きとはまったく関係なく、朝はかなりいい感じです。

その時、私は、あー、フシギ!ヨーロッパに住んでるんだなー、って実感します。






2008年12月6日土曜日

my home in Paris

どういうことか、パリに住んで四年になります。

こんなに長く住むことになるなんて思わなかった。

多くの日本人がパリが好きでやってくるのに、

私はむしろパリが嫌いでした。


パリはなんか可愛らしすぎて。

気取っていて。何かよそよそしくて。

かってに、天邪鬼に、一方的に嫌っていました。





でもフシギです。

四年が過ぎて、いつの間にか自然に家について「ただいま」といえるようになりました。

少しずつ、気づかぬうちに、


好きになってきたんですねえ、この町が。

よそよそしいと思ったのに、毛布みたいにふんわり暖かかったり、

かもめみたいに自由だったり。

匂いにつられて美味しいパンを食べたり、ギャラリー巡りで面白い絵を見たりするうちに、

素直に「ここは、なんかいいなあ!」と思えるようになりました。



私のアパートはサンジェルマンデプレというところにあります。

パリの中心に近い6区。セーヌ川まで歩いて3分。

ギャラリーが立ち並ぶ一角にたつ、小さくてふるーい建物が私の家です。

5階なのに螺旋階段しかないので、ふうふう息を切らせながら登る。


まいにち、まいにち。


ずっしり重い食料品なんか持っている日には、「このやろー!」という感じですが、

でも、それも実はなんだかそれも嫌いじゃない。